愛は単なる好きとは違う！
愛と聞くと人によってその定義はまちまちであると思います。ある人にとっては恋と一緒であると考える場合もあります。また、ある人にとってははかないものと言うイメージを持つ場合もあります。それは、世の中で愛と言う定義が曖昧にされているからかもしれません。もっと突っ込んだ言い方をすれば本当の愛を知らないからかもしれません。そして実際に愛には親子、子ども、友達と色々と形があると思います。最近では性のマイナリティに対する権利主張が表面化されて来ています。そんな中でますます「愛とは何ぞや？」と混乱している世の中であると言っても過言ではありません。
ここでは男女の愛を考えてみましょう。今お互いに愛し合っているカップルに「愛とは何か？」と問うと、「もちろん、今の私達の状態です！」と答えるでしょう。そしてそれは確かに適切な表現であると言えるでしょう。しかし、そのカップルも10年後、20年後はどうなっているか誰にも分からないのです。また、家族や友達に至っては言うまでもありません。では、なぜその様にして「愛」と言うのはいつも不安定なのでしょうか。
聖書では「愛」についてその言語(新約聖書のギリシャ語)を見てみると下記の四つの単語が用いられています。
１．エロス(男女の愛)
２．フィリア(友情などの愛)
３．ストルゲー(親子や兄弟の愛)
４．アガペー(無条件の愛)
さて、これを見ても「愛」と言う単語が表す定義が多いのは歴然です。世の中が混乱するのも無理のないことかもしれません。では、この愛はいわゆる「好き」と言う事と違うのでしょうか。上記の１〜３は「好き」から「嫌い」に変わってしまう可能性が十分にあることです。そして、それゆえに私達の中でも一喜一憂する大きな要因となっているのは言うまでもありません。しかし、上記の４に関しては「嫌い」に変わってしまうことがないのです。
視覚障害者であり音楽家であったレスリー・レムケ(Leslie Lemke、1952~ ) https://youtu.be/TZ9JQb6eSoQ のお話しです。
彼は1952年に米国ウィスコンシン州ミルウォキーの市立病院前に捨てられます。当時彼は生後6ヶ月でした。目に障害があって他の人体に及ぶ影響が憂慮されて眼球は摘出された状態でした。さらに重症精神障害と脳性麻痺を患っていました。病院当局はひどく戸惑いました。幸いにも引退する看護師メイ・レムケ(May Lemke)が養子縁組すると名乗り出ます。
ところで状態は決して楽観視出来るほどの簡単な問題ではなく深刻でした。自ら食べ物を飲み込むことができなく、口に入れた後首部位を押して飲み込む様に手助けしないといけない程でした。毎日手足と指をさすってあげ按摩もしてあげ額に顔をつけてあげても反応がなかったのです。気落ちする事も度々でしたが放棄することもできなく常に涙で祈ります。ほとんど変化がなしに歳月が流れました。レスリーが18歳になったとき、メイの夫も友達もここまでよく頑張ったがもう放棄しなさいと説得します。しかしメイは神様が自分に任せて下さった子どもだからと確信していたので到底彼を放棄することが出来なかったのです。目の前の状況だけ見れば惨めな思いをするしかなかったのですがずっと涙で祈りました。
そうしたある日レスリーが指でギターの弦を弾いている姿を見つけたのです。メイがその光景を見ると正にそれは奇跡としか言いようのない出来事でした。そして彼女は叫びます。“そうよ！レスリーには音楽、音楽だわ！”と。
メイはその時からピアノを弾き、TVをつけ、音楽を家中に常に流れているようにしました。更にメイはレスリーの指を一本ずつ掴んでピアノの鍵盤になれるようにします。1971年ある日夜明けに驚くべき事が起こります。メイがまだ寝ている時に変な音が聞こえるのでした。耳をそばだてて聞いていると誰かがチャイコフスキーピアノ協奏曲第1番を演奏しているではありませんか。
彼女は驚きつつもピアノの音が出ている所まで駆け付けます。なんと言うことか、そのピアノを弾いていたのはレスリーだったのです。まさかの奇跡が本当に起きたのです。その後TVに出演してメディアの大きな関心を受けるようになります。マスコミは争う様にしてレスリーに関する記事を出す様になります。そんなマスコミの記事のタイトル中に次の様な文言がありました。<愛と祈りの奇跡！>
彼は本格的に音楽活動をするようになって各地で公演をするようになります。彼のIQは58と言います。一種のサーバント症候群(Savant syndrome)です。知能は低いがある特定の分野で優れている能力を見せる現象です。メイの愛と涙の祈りが作った奇跡だったのです。
聖書の中には上記の４に関して完璧にアガペーの愛を持った方が紹介されています。そして、そのアガペーの愛は「全人類を震撼させるほどの完璧な愛」なのです。まさにイエスキリストの十字架の愛なのです！イエスキリストは神の子であられながら、神ご自身でもあるお方でした。しかし、人類全ての人達の罪を背負って代わりに裁かれたのです。そして、人類全ての人が救われる道を自らが切り開いて下さったのです。その愛は完璧な愛であり無条件、見返りを期待しない愛なのです。また、その愛によって多くの人の人生に生きる希望を与えて下さっているのです。そのキリストの愛によって聖書に記録されている愛の模範となられたのです。
「人が自分の友のためにいのちを捨てること、
これよりも大きな愛はだれも持っていません。」
ヨハネの福音書15章13節